児嶋正子

児嶋正子MASAKO KOJIMA

ポジション TELAS渋谷designer

幼少時代

福岡で生まれ、三人兄弟の末っ子として育ちました。
幼少期には、たくさんの習い事をさせてもらいました。ピアノ、水泳、英会話、習字......それぞれ楽しかったですが、特に水泳は一番長く続けたもので、今でも思い出すと胸が温かくなります。プールの中に入ったときの、あの静かで少しこもった音や、水に浮かんでいるときの不思議な感覚が大好きでした。自由に体を動かせる水の中は、自分だけの静かな世界で、心地よい安心感に包まれていたのを覚えています。
今でもたまにジムで泳ぐのは、きっとあの頃の記憶が心の奥に残っているからだと思います。

もうひとつ、私の中で大切な思い出として残っているのが、リカちゃん人形で遊んでいた時間です。
可愛いドレスを着せたり、おうちを作って遊んだりするのも楽しかったのですが、ある日ふと思いついて、人形の髪を切ってみたことがありました。その瞬間、「髪って、切るとこんなに印象が変わるんだ」と小さなながらに衝撃を受けました。
それからというもの、うちにあった人形たちはどんどん髪型を変えられていきました。前髪を作ったり、ショートカットにしたり、時には失敗してしまったり......。今思えば、あれが私にとって、美容師としての第一歩だったのかもしれません。

何気ない遊びの中で「髪を通して人の印象を変える楽しさ」に気づいた小さな私は、まさかそれが将来の仕事に繋がるとは思ってもいませんでしたが、あの頃の純粋な好奇心が、今の私を作ってくれたのだと思っています。

学生時代

中学時代、私はテニス部に所属していて、毎日のように太陽の下で汗を流していました。
気づけば肌は真っ黒に日焼けしていて、それが少し嫌になった私は、美白に目覚めます。緑茶パックを自分で作ってみたり、市販の美白クリームを試してみたりと、手探りでやっていました。
その頃から美容室に行って髪を切ったとき、「髪型ひとつでこんなにも印象が変わるんだ」と感動したのを今でも覚えています。
その瞬間、私は美容師になりたいと心に決めました。

高校時代は、とにかく毎日が楽しかったです。勉強はあまり好きではなかったけれど、アルバイトに打ち込み、充実した日々を送っていました。
マクドナルドでのバイトでは、素敵な先輩や仲間たちに恵まれ、仕事終わりに皆で遊んだ思い出がたくさんあります。今でもその頃の話を友達と笑いながら語り合うほど、心に残る大切な時間でした。

美容学生になってからは、同じ夢を追いかける仲間たちと共に過ごす毎日が本当に刺激的でした。技術を磨くための練習は大変でしたが、夢に向かって努力することが楽しく、やりがいに満ちていました。仲間と励まし合いながら過ごした時間は、今の私の土台となっています。

こうして振り返ると、どの時代もかけがえのない思い出ばかりです。そして、あの時の「美容師になりたい」という気持ちは、今も変わらず私の中で生き続けています。

修行時代

美容師アシスタントとして働き始めた頃のことを思い出すと、今でも胸が少しざわつきます。何も分からない状態でサロンに立ち、毎日が不安と緊張の連続でした。慣れない手つきでシャンプーをしては、先輩にご指導いただき、時には厳しいお言葉を頂戴することもありました。でも、そのたびに「もっと上手くなりたい」「先輩のようになりたい」と強く思っていました。

中でも印象に残っているのは、夜遅くまで残って練習していた日々です。失敗ばかりで落ち込む私に、先輩が付き合ってくださって、何度も何度もアドバイスをしてくださったこと。あのときの悔しさと、先輩の優しさは、今でも忘れられません。

周りの同期たちとも、よく支え合って過ごしました。「今日怒られちゃった」「全然うまくいかなかった」なんて弱音を吐いた日もあれば、「昨日より少しだけ手際よくできたかも!」と小さな成長を喜び合った日もありました。みんな同じように悩み、努力していることが励みになって、がんばる力になっていたのだと思います。

スタイリストになりありがたいことに、コンテストや撮影に参加させていただく機会にも恵まれました。初めはとても緊張しましたが、自分の「好き」を作品に込める楽しさを知り、美容師としてのやりがいや表現の奥深さを感じることができました。作品づくりに没頭している時間は、本当に幸せで、自分の可能性を信じてみようと思えた瞬間でもありました。

そして、お客様を担当させていただけるようになってからは、また違った葛藤と向き合うようになりました。「もっとこうすればよかったかな」「あのお客様、満足してくださったかな」...毎日が反省と学びの連続で、自分の未熟さに悩むことも多くありました。

そんなとき、必ず声をかけてくださったのが、先輩方でした。「よく頑張ったね」「次はこうしてみようか」と、いつも優しく、時には厳しく、親身になって支えてくださいました。そのおかげで、何度も立ち直ることができましたし、続けてこられたのだと思います。

決して楽しいことばかりではありませんが、あのとき感じた悔しさや嬉しさ、仲間との絆、そして何より「美容が好き」という気持ちは、今の私の土台になっています。まだまだ理想の美容師像には遠いかもしれませんが、あの頃の想いを忘れずに、これからも努力を重ねていきたいと思っています。